第265章 理想と現実

落成式のテープカットの最中、突如として異変が起きた。

抗議活動を行う一団が警備のバリケードを突破し、会場は瞬く間に大混乱に陥った。

押し寄せる人波に押され、葉山立夏がよろめき後ずさったその時、西園寺京夜が素早く彼女の前に立ちはだかり、その身を盾にして彼女を守った。

喧騒の中、鋭利な刃物が衣服を引き裂く鈍い音と、押し殺したような短い呻き声が掻き消された。

騒ぎが収束した後、立夏は彼の右腕に裂傷が走り、濃紺のスーツから血が滲み出しているのに気づいた。

「かすり傷だ」

京夜は平然と言い放ったが、彼女が強く主張すると、大人しく手当てを受け入れた。

その夜、京夜は高熱を出した。

立夏は...

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