第274章 どの病院か

彼女は「西園寺の奥様」としてではなく、自ら車を運転してその最高級のプライベート療養院へと向かった。

病室には消毒液の匂いはなく、ただ上品なアロマの香りが漂っていた。

西園寺百合子はベッドに半ば身を預けていた。化粧も宝石も取り払われたその顔には、年月の痕跡と病的な憔悴が色濃く表れていた。

葉山立夏の姿を認めると、彼女はもがきながら起き上がろうとした。

「横になっていてください」

立夏は持参した花を枕元に置き、静かな声で言った。

百合子の眼差しは複雑だった。かつての見下すような値踏みの色は消え失せ、代わりに疲弊、後悔、そして探るような光が宿っていた。

「京夜から、すべて聞きました」...

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