第275章 いつ発つのか

西園寺グループのビルから病院までの道のりは、夕方の帰宅ラッシュでひどく渋滞していた。

西園寺京夜は一言も発さず、ハンドルを切り返し、車の流れの中を強引に縫うように疾走した。

耳障りなクラクションや罵声は、とうの昔に彼のはるか後方へと置き去りにされていた。

彼の世界には今、病院へと続くその道と、恐怖に鷲掴みにされた胸の奥の心臓しか存在しなかった。

考えることすら恐ろしかった。

ジュネーブの冷たい河の水、彼女の蒼白な顔――それは彼を幾度も苛む悪夢だ。

二度とあってはならない。

絶対に。

……

車を救急病棟のエントランスに乗り捨てると、彼はドアを蹴り開けて中へと駆け込んだ。

病...

ログインして続きを読む