第3章 彼は彼女の身代わりで服役した
第4章
葉山立夏は、スマホの暗号化されたフォルダを開いた。
中には一枚の写真しかない。
それは彼女と葉山蓮のツーショットで、高校の卒業旅行の時、海辺で撮ったものだ。
写真の中の少年は目鼻立ちがすっきりとしていて、笑顔は眩しく、彼女の肩を抱いてカメラに向かい、大声で叫んでいた。
「葉山立夏、大学を卒業したら俺が嫁にもらってやる!」
あの頃の風は甘く、海は青かった。互いに結婚などほぼ不可能だと知りながらも、未来には無限の可能性があると信じていた。
すべての転機は、大学二年の時に訪れた。
彼女にしつこく言い寄っていた金持ちの放蕩息子が校門で彼女を待ち伏せし、体を触ってきたのだ。葉山蓮が飛び出し、取っ組み合いになった。
混乱の中で葉山立夏は護身用のフルーツナイフを取り出したが、それがかえって放蕩息子の闘争心に火をつけ、彼は取り巻きを呼び集めた。
集団暴行を受け、葉山蓮は半殺しの目に遭った。
瀬戸際で葉山立夏が放蕩息子の腕をナイフで刺したことで、葉山蓮は形勢を逆転し、相手に重傷を負わせることができた。
その後、病院で葉山蓮は葉山立夏に、自分のことは気にするな、どんな結果になろうと自分で責任を取ると言い含めた。
裁判の日、葉山立夏はその放蕩息子の両親の前で一日中土下座し、額が割れるほど頭を下げ続けたが、返ってきたのは冷酷な言葉だけだった。
「和解したいだと? いいだろう、六千万持ってこい」
六千万。
両親を早くに亡くし、奨学金とアルバイトで暮らす孤児の彼女にとっては天文学的な数字だった。
葉山蓮には懲役七年の判決が下った。
収監される前、ガラス越しに彼が言った最後の言葉は、「立夏、ごめん。待っててくれ。怖がるなよ」だった。
怖くないわけがない。
両親が死んでから葉山蓮と二人で支え合って生きてきた彼女にとって、空が崩れ落ちたようなものだった。
八方塞がりになり、腎臓を売ることさえ考えた時、西園寺京夜が取引を持ちかけてきた。
当時、西園寺京夜は一族の継承権争いの渦中にあり、周囲を納得させるための「身元が潔白な」妻を必要としていたのだ。
彼女はその契約書を見て、選択の余地などなかった。
自分の罪を被ってくれた葉山蓮のために、彼女はサインした。
その日から、彼女は西園寺京夜の妻となり、清風邸の女主人となった。
感情も尊厳もなく、契約を遵守しなければならない人形として。
彼女はこの華麗な牢獄を守り、秘密を守り、来る日も来る日も待ち続けた。
そしてこの長い待ち時間の中で、彼女にはあるまじき感情が芽生えてしまった――西園寺京夜への愛だ。
この五年間を耐え抜けば、すべてが良くなると信じていた。
だが今、彼女にはもう待つ時間が残されていない。
葉山立夏はスマホの画面を消し、枕に顔を埋めた。
長く抑え込んでいた嗚咽が、ついに喉から溢れ出した。細く、絶望的な響きだった。
西園寺ホールディングス創立六十周年記念パーティーは、例年通り西園寺家の本邸である広大な屋敷で開催された。
名士が集い、会場は星々のように煌めいている。
西園寺グループの現社長として、西園寺京夜は間違いなく会場の注目の的だった。
そして彼の同伴者は、人々のゴシップ魂を一瞬で点火させた。
正妻である葉山立夏ではなく、最近飛ぶ鳥を落とす勢いで各グループから引く手あまたの九条玲奈だったからだ。
九条玲奈は純白のマーメイドラインのドレスを纏い、化粧も完璧で、親密そうに西園寺京夜の腕に手を回している。二人が並ぶ姿は、まるで夫婦のようだった。
誰もが暗黙の了解を得た。
どうやら、西園寺家のあの謎めいた地味な奥様は、完全に寵愛を失ったらしい。
宴会場の隅で、数人の富裕層の夫人たちが集まってひそひそ話をしていた。
「見た? 西園寺社長、今日は九条玲奈を連れてるわ。噂は本当だったのね。あの隠し妻の葉山さん、追い出されるのも時間の問題だわ」
「とっくに離婚すべきだったのよ。背景もない孤児がどうやって西園寺夫人の座に就いたのか知らないけど、五年経っても子供一人産めないなんて。西園寺家が今まで置いてやっただけでも慈悲深いわ」
「そうそう、九条玲奈を見てご覧なさい。あれこそ深窓の令嬢よ。お父様が西園寺家とビジネスの付き合いがあるんですって?」
その噂話は、大きくもなく小さくもなく、ちょうど宴会場に入ってきた葉山立夏の耳に届く音量だった。
彼女は聞こえないふりをした。
今夜の彼女は、いつもとは違っていた。
ロイヤルブルーのベルベットのロングドレスを纏い、もともと白い肌が透き通るように映えている。長い髪をアップにして優美な首筋を露わにし、薄化粧で病的な蒼白さを隠し、鮮やかな紅の唇だけで顔全体の色彩を際立たせていた。
彼女が現れた瞬間、多くの視線が注がれた。
人々は西園寺夫人の美貌に驚き、それ以上に彼女が現れたことに驚いた。
西園寺京夜も彼女に気づいた。
彼女が来るとは思っていなかったのだ。
しかも、これほどまでに光り輝く姿で。
彼の視線と葉山立夏の視線が空中で交錯した時、彼は無意識に九条玲奈に組まれた腕を解こうとしたが、九条玲奈はそれを察したかのように、逆により強くしがみついた。
葉山立夏の視線は、彼らの絡み合う腕を軽く一瞥しただけで、一秒たりとも留まらなかった。まるで無関係な客を見るかのように。
彼女は優雅な仕草で給仕のトレイからシャンパンを一杯手に取り、唇の端を微かに上げ、絶対的な女主人の態度で、余裕たっぷりに客の間を渡り歩いた。
噂されていた「表に出せない」ような雰囲気は微塵もない。
九条玲奈の顔色が、瞬く間に曇った。
葉山立夏は西園寺京夜を見ようともせず、ましてや彼に絡むこともしない。
彼女は行動で無言のうちに宣言していた。私が西園寺夫人である限り、ここは私の独壇場なのだと。
西園寺京夜は人混みの中で輝くその姿を見つめながら、胸の奥に再びあの苛立ちがこみ上げてくるのを感じた。
メインの宴が終わると、西園寺家の内輪の食事会となった。
普段は身内だけだが、今回は異例として九条親子も加わっていた。
葉山立夏の脳裏に、初めて家族の食事会に参加した時の光景がよぎった。
契約結婚をして間もない頃、皆の前で西園寺京夜は彼女を強く抱きしめ、「ご苦労だったな。お前がそばにいてくれれば、毎日が記念日だ」と言った。
あの時の彼女は、それを信じてしまった。
葉山立夏は目を伏せ、強く瞬きをして、こみ上げる酸っぱい感情を無理やり押し戻した。
宴がお開きになり、葉山立夏が二階へ上がろうとした時、耳をつんざくような犬の鳴き声と共にガラスの割れる音が響いた。
音のする方を見ると、リビングの中央で、彼女と西園寺京夜の巨大な結婚写真が粉々に砕け散っていた。
写真の中の彼女の幸せそうな笑顔は引き裂かれ、九条玲奈が飼っているゴールデンレトリバーが狂ったように噛み付いている。
「立夏お姉様、ごめんなさい! 私がちゃんと見ていなかったせいで!」
九条玲奈が駆け寄り、懸命に大型犬を抱きかかえ、「きゃっ!」と悲鳴を上げた。
彼女は手を挙げた。白い指に小さな切り傷ができ、血が滲んでいる。
「私がお金を出して、京夜お兄様ともう一度撮り直させていただきますわ」彼女は申し訳なさそうに言ったが、目は西園寺京夜をちらりと見ていた。
「必要ないわ」葉山立夏は目を閉じ、声に消えない疲労感を滲ませた。「碎けたものは碎けたのよ。どうでもいいわ」
周年パーティーの後、西園寺京夜は清風邸に戻ってこなかった。
葉山立夏にとってはかえって静かでよかった。
ただ、彼女の体調は日に日に悪化していった。
彼女は一人で病院へ行き、第一回化学療法の前検査を受けた。医師は早急に入院手続きをするように言った。
葉山立夏はただ頷き、自分で手配すると答えた。
彼女にはもっと重要なやるべきことがあった。
金曜日。
カレンダーの赤丸で囲まれた日が、ついにやってきた。
葉山立夏は早起きをし、鏡の前で長い時間をかけて化粧品で顔の病的な色を隠そうとしたが、徒労に終わった。
運転手には送らせず、一人でバスに二時間揺られ、郊外の刑務所へと向かった。
高い塀、電流の流れるフェンス。
この中に、彼女の五年の希望が閉じ込められている。
閉ざされた大門の外に立ち、緊張で掌は冷や汗まみれだった。
再会の場面を何度も想像した。
彼は狂ったように走り出てきて、「立夏、帰ってきたよ」と言うだろう。
彼女は彼に、ずっと待っていたと伝える。
そして、家に帰るのだ。
そう、家へ。彼女はすでに部屋を借りていた。広くはないが、温かみのある部屋だ。彼の大好物の豚の角煮を自分の手で作ってあげるのだ。
葉山立夏はそう思いながら、制御できないほど口角が上がるのを感じた。
午前十時ちょうど。
あの重厚な鉄の扉がゆっくりと開いた。
私服を着た男が、中から歩いて出てきた。
髪は短く刈り込まれ、五年前よりずっと痩せて日焼けしていたが、その見慣れた輪郭を、葉山立夏は一目で見分けた。
葉山蓮!
葉山立夏の目頭が瞬く間に熱くなり、涙で視界が滲んだ。
駆け寄りたいのに、両足が地面に釘付けになったように動かない。
葉山蓮も彼女に気づいた。
彼の足がぴたりと止まり、顔には複雑極まりない表情が浮かんだ。
彼は彼女が想像していたように、飛んでくることはなかった。
葉山立夏が足を踏み出そうとしたその時、鮮やかな黄色の人影が葉山蓮の後ろから飛び出してきた。
その少女は明るい黄色のパーカーを着て、ポニーテールを高く結い、二十歳そこそこに見えた。
彼女は葉山蓮のそばに駆け寄ると、あまりに自然に彼の腕に手を回し、顔を上げて満面の笑みを向けた。
「蓮兄ちゃん、歩くの早すぎだよ!」
