第39章 亀裂は永遠に残る

固く閉ざされた瞳と、震える睫毛。それを見つめていた西園寺京夜の喉仏が大きく上下したが、結局彼は何も言わず、背を向けて寝室を出て行った。

遠ざかる足音を聞き、葉山立夏は張り詰めていた糸が緩むように、安堵の息を吐く。

ついにこの独り芝居に飽きたのだろう。出て行ってくれた。

それでいい、と彼女は思った。

だが数分後、再びドアが音もなく開く気配がした。

戻ってきた西園寺京夜の手には、ガラスのコップが握られていた。

彼はベッドサイドに歩み寄ると、それをナイトテーブルの上に置く。コトッ、という硬質な音が静寂に響いた。

「水を、飲め」

その声は乾いて掠れており、彼自身さえ気づかない不器用さ...

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