第48章 行き場がない

葉山立夏は顔を上げ、横目で葉山美桜を窺った。だが、葉山美桜の意識は、父親の語る荒唐無稽な画策になど向いていなかった。

その潤んだ瞳は、恋する少女特有の熱を帯び、始終ただ一人に釘付けになっていた。

――葉山蓮だ。

当の葉山蓮は伏し目がちに、隣に座る佐藤晴美の手が届かない位置にある豚の角煮を取り分け、彼女の皿に置いてやっていた。その動作はあまりに自然で親密で、まるで千回も繰り返してきたかのようだ。

彼は、この宴席に渦巻く不穏な空気など、端から目に入っていないようだった。

葉山立夏は、唐突にすべてを悟った。

ここは家ではない。

あの清風邸よりもさらに冷え切った、残酷な場所だ。

誰も...

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