第70章 願いが叶いますように

「どこへ行くの?」

「あんたのために見つけた新しい家よ」橘カオリはハンドルを切りながら答えた。「友人の持ち物なんだけど、環境はいいし静か。何より、誰にも見つからない場所にある。ここで安心して体を治して、鋭気を養いなさい」

隠れ家のようなその別邸は、山の中腹にひっそりと佇んでいた。白壁に黒い瓦、中庭にはクチナシが植えられ、ちょうど花期を迎えて芳しい香りが漂っている。

五十歳ほどの家政婦が出迎え、手際よく荷物を受け取った。

「立町さんよ。あんたのために特別に頼んだの。口が堅くて、料理の腕もいいわ」橘カオリが紹介する。

葉山立夏は立町さんに微笑みかけ、礼を言った。

新しい生活が、始まっ...

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