第77章 彼は全てが手遅れになるのを恐れた

西園寺京夜は一睡もしていなかった。

頭が割れるように痛み、母のヒステリーに付き合う気力など、これっぽっちも残っていない。

彼は眉間を強く揉んだ。

「母さん、会社のことには口を出さないでくれ」

「口を出すなですって?」

西園寺百合子は導火線に火がついたように、猛然と立ち上がった。

「京夜、あなたは私の息子よ! あなたの問題は私の問題なの! あの女は浮気をして……」

「彼女はしていない」

京夜の声は低く、自分でも気づかないほどの深い疲労が滲んでいた。

「まだ庇うの!」

百合子は怒りで唇を白くさせ、傍らの九条玲奈を指差した。

「玲奈をご覧なさい! こんなに良い子が、あなたのた...

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