第84章 苦肉の計

苦肉の策だ!

その一言が、西園寺百合子の理性を完全に粉砕した。

脳裏に瞬間的に浮かんだのは、葉山立夏のあの冷ややかで強情な顔と、橘カオリの抜け目のない商売人としての顔だった。

あの女たちが手を組めば、どんなことだってやりかねない。

西園寺家の根幹を揺るがし、息子を破滅させようとしているのだ!

「おば様、あまり思いつめないでください。もしかしたら……私の考えすぎかもしれませんし」

九条玲奈は機が熟したと見るや、すぐさま善良で無垢な役柄を演じ始めた。「私はただ、京夜お兄様が心配でたまらないんです。今のお兄様は誰の言葉も耳に入らないようで、あの方に夢中になるあまり、おば様のお言葉さえ届...

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