第115章

ケイン視点

くそっ、ケイン……何やってんだ。

彼女に怒っていたわけじゃない。それ以外、すべてに腹が立っていたんだ。評議会。迫りくる脅威。いくつもの危険な一線を越えなければ、彼女の安全を約束できないという事実。だが、テッサはそれを知らない。彼女に伝わったのは、俺の声に含まれていた刺々しさと、命令口調だけだ。

廊下の突き当たりまで来て、俺はため息をつき、俺たちの部屋がある静かな棟へと足を向けた。

「怒鳴るつもりはなかったんだ」俺は呟いた。吐息と変わらないほどの小さな声で。

テッサはちらりと俺を見上げた。薄暗がりの中で、その表情は読み取れない。

「わかってる」彼女は短くそう言った...

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