チャプター 29

ケイン視点

「あいつをいつまで閉じ込めておくつもりなんだ?」

セスがそう尋ねる。俺は肩をすくめ、私有地のゲートの前で車を停めた。ゲートが開くのを待ち、再び車を進める。

「俺が気が済むまでさ……他の患者と同じように半年ごとに報告書を読んで、そこから判断する。とりあえず、十分罰は受けただろ!」

俺が笑うと、セスは頷き、ゆっくりと治癒しつつある血まみれの拳に視線を落とした。

車を停め、全員で降りて屋敷へと向かう。ドアを押し開けて中に入った瞬間、出かける前にはなかった異質な気配を感じ取り、俺の足取りが重くなった。

「何かがおかしい……」

俺は二人に告げる。俺たちの狼と...

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