チャプター 34

テッサ視点

「メイク道具を持ってきてくれて本当によかった!」

エリンは鼻歌交じりにそう言うと、もう一度自分の姿を確認した。ここに来て初めて、彼女はいつもの自分に戻ったように見えた。

彼女に輝きが戻っていた。華やかで女の子らしい一面を見せているが、セスはまだこれを見る機会がなかったものだ。

「このカーラー外してくれる?」

私は尋ねながらベッドサイドの時計を確認した。フェスティバルに出発するまで、あと十五分しか残っていなかった。

エリンは私の後ろに回り込み、頭全体に取り掛かった。丁寧にカーラーを一つずつ外し、頭頂部で完璧なカールになるようにセットしてくれた。

エリ...

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