第六十八章

ケイン視点

朝の光がカーテン越しに柔らかく差し込み、部屋を淡い輝きで満たしていた。

俺はほとんど、いや、まったくと言っていいほど眠っていなかった。テッサはまだ俺に寄り添うように丸まっている。今は呼吸も落ち着いているが、先ほどまでの微かな震えの余韻が、肌を通して伝わってくるようだった。

眠りの中で安らいではいるものの、痣だらけのその寝顔を見るのは、安堵と同時に胸をナイフで抉られるような痛みをもたらした。彼女には休息が必要だ。だが、夢の中でさえ、あの忌まわしい記憶から完全に解放されているわけではないことを、俺は知っていた。

彼女を起こさないよう、俺はできる限りじっとして...

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