チャプター 87

***ケイン視点***

扉が軋んだ蝶番を鳴らしながら悲鳴を上げて開いた。夜の重苦しい静寂の中、その音はあまりにも大きく響いたが――もはやそんなことはどうでもよかった。

隙間が広がった瞬間、その匂いが壁のように押し寄せてきた……。

血。汗。

奴だ!

奴がここにいる!

クソッ、ようやくか!

俺は真っ先に飛び込んだ。キオンがすぐ後ろに続く。牙を剥き出し、筋肉を強張らせ、怒りが他のすべてを飲み込んでいく。

ディミトリが目を丸くしてこちらを振り返った。

全裸で、完全に無防備な姿だ。

奴はコンテナの隅、薄汚い毛布の山で作ったマットレスの上に大の字になっていた。薄暗いオイルランプの揺らめ...

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