チャプター 89

*****ケイン視点*****

続いて聞こえてきた音に、アドレナリンがナイフのように全身を駆け巡った。

骨が砕ける音。肉が引き伸ばされる音。筋肉が断裂する音。

ついにディミトリが変化(シフト)を始めたのだ。

しかも、速い……。

負傷しているにもかかわらず、奴は後先など構わずに変化を強制していた。体は激しく痙攣し、ねじれ、のたうち回る。その無残な皮膚を突き破って黒い毛皮が噴き出す様は、まるで目の前で怪物が生まれ変わっているかのようだった!

「クソッ!」

狭い空間に血生臭い唸り声が響き渡る中、俺はとっさにサシャを胸に強く抱き寄せた。

なんとしても、この子を生かして連れ帰らなければ…...

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