第27章:彼が間違えた

結城哲夫は一目見ただけで、この絵が自分が谷本さんに贈ったものではないと気づいた。

これは偽物だ!

じゃあ、この絵は誰が贈ったのか?

さくら展示ホールに展示されているなんて、みんな本物だと思っているようだ。

結城哲夫が呆然としている間に、小宮健司はその絵について滔々と語り始めた。来歴についても話し、「結城会長、この絵は大津くんが私の誕生日に贈ってくれたもので、非常に高価なものです。ちょっと見ていただけますか?」

大津くん?大津誠一!

結城哲夫は笑顔の大津誠一を見て、彼がとても得意げな様子であることに気づいた。

さっき谷本さんに失礼な態度を取ったのはこいつだ!

結城哲夫は心の中で...

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