第10章

痛みをこらえ、ベンチの端を掴んで体を起こした。

立花謙一が周防春香を庇いながら遠ざかっていくのを、瞬きもせずに見つめた。

目の奥が熱く痛むが、私は意地でも瞬きしなかった。

自虐に近いほど現実を直視しなければ、立花謙一という名の檻から抜け出すことはできないのだ。

「お嬢さん、医者を呼ぼうか?」

通りがかりの人が親切に声をかけてくれた。

「ありがとうございます。でも、大丈夫ですから」

私は首を振って断り、ベンチを支えにゆっくりと立ち上がった。

左足が地面に着いた瞬間、膝に針で刺されたような激痛が走る。

あまりの痛みに、私は息を呑んだ。

「お嬢ちゃん、足の怪我、軽くなさそうだよ...

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