第102章

「父さん、母さん、あなたたち……」

首筋がひやりとしたかと思うと、次の瞬間には意識が途絶えた。

意識が戻ると、体が揺れていた。どうやら走行中の車の中にいるらしい。

鼻をつくのは、革とガソリンが混じり合ったような臭気。

空気は淀んでいて湿っぽい。

目隠しをされ、手も拘束されている。

そのうえ頭がくらくらとして、全身に力が入らない。

薬を盛られた後遺症だ。

また誘拐されたのか?

今度は誰だ?

周防春香か?

それとも、他の誰か?

突然の急ブレーキ。身構える間もなく、慣性に引かれ、体ごと前へ転がる。

「ドンッ」と鈍い音がして、頭を硬い内壁に打ち付けた。

「痛っ……」

思...

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