第103章

「その手……」

昨日、ケンは私をホテルから救い出すために右手を負傷した。

そして今日、立花謙一の右手もまた、傷ついている。

「大したことない」

立花謙一は素っ気なく答える。

そんな偶然など信じられるはずもなく、私は単刀直入に切り出した。

「傷を見せて」

立花謙一は横目で私を値踏みするように見る。

「何だ? お前のヒモも、同じ手を怪我したのか?」

図星を突かれ、私の表情がこわばった。

立花謙一は鼻で笑った。

「まさか、俺があいつだとでも疑っているのか?」

その通りだった。

表情が強張り、そして惨めなものへと変わっていく。

そうだ、どうしてそんな馬鹿げたことを考えてし...

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