第112章

反射的に瞼を閉じる。だが、予期していた激痛は襲ってこなかった。

カッと目を見開くと、わずか一歩先のドアに、生々しい弾痕が穿たれているのが見えた。

立花謙一は、本気で先輩を殺すつもりなどなかったのだ。

その事実に気づいた瞬間、私は彼の方へ視線を走らせた。

立花謙一の瞳の奥には、凍てつくような寒気が渦巻いている。彼はゆっくりと銃を構えた手を下ろした。

何か言うかと思ったが、彼はただ沈黙を守っていた。

「紗夜、大丈夫か?」

周防玉輝が身を翻して私を助け起こし、怪我がないか入念に確かめてくる。

私は立花から視線を外し、小さく首を横に振った。

「うん、平気……」

周防玉輝も安堵の息...

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