第139章

周防春香の姿を見て、佐川元衡は気を利かせて立ち去った。

私もその場を離れようとしたが、立花謙一に手首を掴まれ、引き留められた。

「何を後ろめたがっている? 立ち去るべきなのは、お前じゃない」

私が口を開く間もなく、周防春香が金切り声を上げた。

「謙一、どうしてその女の手を握ってるのよ!」

立花謙一は淡々と言い放つ。

「俺と紗夜はもともと婚約者同士だ。手を繋いで何が悪い?」

周防春香は信じられないといった表情で目を見開く。

「だ、だって……婚約は破棄されたじゃない。そんなことをしたら誤解されるわ」

「それに、おばあ様が言ってたじゃない。いい日取りを選んで、私たちを結婚させてく...

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