第14章

私は立花謙一をじっと見つめ、その言葉には答えなかった。

「松本千秋、もういいの」

周防春香はわざとらしく松本千秋をなだめ、私に向き直って言った。

「お姉さん、今夜のことはもう気にしません。謙一とも話し合ったんですが、お姉さんが謝ってくれさえすれば、不注意で転んだことにして、すべて水に流しますから」

「春香、それは本当か?」

団長が色めき立って近づき、笑顔で周防春香に尋ねる。

周防春香は頷いた。「はい。そうすれば誰も困らずに済みますし」

「さすがは心が広いな」団長は嬉しそうに頷き、私を諭し始めた。「紗夜、春香もこう言っている。謝りさえすれば、その……」

「ありえません!」私はき...

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