第141章

バッグを手にした健が部屋から出てきたのを見て、私の心は複雑な感情で満たされた。

「健、あなたは……」

健は私の視線を避け、少し顔を背けたまま、淡々と言った。

「二人の幸せを祈ってるよ」

その一言は、どんな非難の言葉よりも私の胸を締め付けた。

彼がドアを開けて出て行くのを見て、思わず二歩ほど追いかけた。

だが、追いついたところで何の説明もできないし、決意が変わるわけでもないことに気づき、私は足を止めた。

これでいいのだ。

健は根っからの善人で、私にはもったいないくらい良い人だった。

彼なら将来、私なんかより一千倍も一万倍も素敵な女性に巡り会えるはずだ。

選択をした以上、これ...

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