第165章

身なりこそ整っているものの、そこに座る彼女の姿には、静謐な狂気が滲んでいた。

私は足を止め、それ以上奥へ進むのをやめた。

周防春香の視線が、私を射抜くように捉える。その声は、わざとらしく抑えられていた。

「小林紗夜、私を完全に破滅させなきゃ気が済まないわけ?」

私は扉の枠に背を預け、あくまで他人事のように答えた。

「自分で蒔いた種でしょう。逆恨みもいいところだわ」

「自分で蒔いた種、ですって?」

周防春香は低く鼻で笑うと、ゆらりと立ち上がり、私の方へ歩み寄ってきた。

「あなたが裏で手を回して、あの動画を公開したせいじゃない! 私がこんな目に遭ったのは!」

光の下に晒された彼...

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