第169章

立花謙一は、大奥様の後ろに続いて部屋に入ってきた。

大奥様の言葉を耳にするや、彼は真っ先に私へと視線を向け、低い声で問い質した。

「海外に行くつもりか?」

予期せぬ展開に呼吸がわずかに滞る。

それでも、私は努めて冷静に答えた。

「ええ。ロイヤル・バレエ団から招待を受けたの。あなたも知っているでしょう?」

「だが、今の君は……」

私を止めようとする気配を察し、即座に言葉を遮る。

「四年前、私はあなたのために夢を諦めたわ。四年経った今も、また私に諦めろと言うの?」

一切の情を排した私の言葉に、立花謙一は言葉を失い、呆然と立ち尽くした。

すると大奥様が激昂して声を荒らげた。

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