第172章

私が口を開く暇もなく、立花謙一は思考を読み取ったかのように言った。

「お前が自分で言ったんだろう。何でもする、とな」

私は弄ばれたと感じた。「それは先輩を見逃してくれるならっていう前提の話よ。なのにあなたは……」

「あいつはまだ生きてる。五体満足でな。違うか?」

言葉に詰まったが、すぐに言い返す。「でも、これじゃ不法監禁よ!」

「不法?」立花謙一は口の端を少し歪めたが、その瞳は笑っていなかった。「俺の子を連れて周防玉輝と駆け落ちしようとした時、お前は考えなかったのか? それこそが俺の子供を『不法』に連れ去る行為だと」

「駆け落ちなんかじゃない!」私は必死に反論した。「あなたが私を...

ログインして続きを読む