第174章

「ああ、一緒に行こう」

立花謙一は少し考えるかと思っていたが、意外にも即答だった。

やはり、この子を気にしているのだろうか?

彼は片腕を私の膝の裏に回し、もう一方の手で腰を支えると、軽々と私を抱き上げた。

二枚の布越しに、彼の体温がじわりと背中へ滲んでくる。

体が無意識に強張り、呼吸さえも慎重になってしまう。

この気まずさを誤魔化すように、私は顔を外へ向けた。

すると、彼が言った。

「数分待っていてくれ」

私をソファに下ろすと、彼は足早に二階へ上がっていった。

間もなくして、彼が戻ってきた。

身につけていた黒のスーツはカジュアルな服装に変わり、シンプルながらもラフな雰囲...

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