第191章

余計なことを考えている暇はない。私はすぐさま踵を返し、病院へと引き返した。

ちょうど、追いかけてきた周防玉輝と鉢合わせになる。

「紗夜……」

「しっ!」

私は彼を制止し、足早に奥へと進んだ。

二棟の入院病棟を抜け、一番奥にある小さな中庭にたどり着いて、ようやく足を止める。

心臓が激しく波打っている。

まるでフルマラソンを走り終えたかのように。

「誰を見たんだ? どうしてそんなに焦ってる?」

ずっと後をついてきた周防玉輝が、荒い息をつく私を見てたまらず尋ねてきた。

隠す必要もない。

「立花謙一よ」

周防玉輝は驚きに目を見開いた。

「どうしてあいつが?」

私は首を振る...

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