第20章

反射的に振り返ると、そこにはすらりとした優雅な人影が佇んでいた。

視線が合うと、彼は私に向けて穏やかな笑みを浮かべた。

驚きのあまり言葉が出ず、しばらくしてようやく声を絞り出した。

「……先輩?」

昨日の電話では、まだ海外にいると思っていた。

まさか、もう帰国していたなんて。

「見間違いかと思ったけど、やっぱり君だったんだね」

彼は微笑みながら言った。

その姿を見て、混乱していた私の意識が一気に冴え渡る。

立花謙一に協力を拒まれた今、彼だけが最後の頼みの綱だ。

「先輩、折り入ってお願いがあるんです。唐突だとはわかっていますが、私……」

「いいよ」

私が言い終わる前に、...

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