第204章

まもなく、母から電話がかかってきた。

「紗夜、まだ降りてこないの? 迎えに行こうか?」

母のその言葉が、私の記憶の引き金を引いた。

先ほどの光景が、卵の殻を破るかのように、再び脳裏に鮮明に蘇ってくる。

「ううん、大丈夫。すぐに行くわ」

通話を終え、私は首を傾げた。

どうして突然、自分が何をしていたのか忘れてしまったのだろう?

最近、夜更かしが続いていて、ちゃんと休めていなかったから?

きっと、そうに違いない。

エレベーターに乗り、両親と合流して湖湾別荘へと戻る。

私の退院を聞きつけた立花青叶が、早くから玄関先で待っていた。

「おじさま、おばさま! それに紗夜!」

私た...

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