第223章

「紗夜」

振り返った瞬間、背後から再び立花謙一の声が聞こえた。

訝しげに、もう一度エレベーターホールへ視線を向ける。

すると、チャコールグレーのスーツに身を包んだ立花謙一が、そこから姿を現したではないか。

彫りの深い整った顔立ち。

逆光の中を歩み寄ってくるそのシルエットは、すらりとして長身だ。

近づいてくる彼を呆然と見つめながら、私は口を開いた。

「どうして、ここに?」

マリと揉み合っていたあの男は、本当に彼じゃなかったの?

立花謙一は私の手を取り、その大きな掌でしっかりと握りしめた。

「誤解されるといけないから、ちゃんと説明しに来た」

喉の奥が熱くなり、どう返事をすれ...

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