第224章

私が危惧していた事態は、結局起こらなかった。

先ほど一瞬だけ激情を露わにしたのを除けば、立花謙一は終始落ち着き払っていた。

海宮に戻ると、全身にまとわりつくような汗の不快感があった。

「私、先に部屋に戻るわ」

「待て」不意に立花謙一が私を呼び止める。「明日は薬を飲み始めて三日目だ。新谷先生のところへ行け」

私は彼の目を見ることができず、うつむき加減で呟いた。

「明日の午前中は予定があるから、午後からでもいい?」

立花謙一の眉がピクリと動く。

「誰との約束だ?」

本当のことを言うべきか、それとも嘘をつくべきか。心の中で葛藤が渦巻く。

だが結局、正直に打ち明けることにした。

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