第240章

心臓が静かに締め付けられた。やはり新谷先生をごまかすのは一筋縄ではいかない。

「確かに、気づきませんでした」

新谷先生は視線を微塵も動かさず、静かに頷いた。「なら、まずは私の助手に同行して検査を受けてきなさい」

私は密かに安堵の息を吐いた。

立ち上がろうとした瞬間、立花謙一が私の腕を引いた。「ここで待っている」

私は頷いて応じ、新谷先生の助手の後に続いて部屋を出た。

しかし廊下の途中で、忘れ物を取りに行くという口実を作って引き返した。

ドアの前まで戻ると、中から話し声が漏れ聞こえてきた。

「新谷先生、紗夜の病状が三度目の再発を起こしていると確信したのなら、解毒剤の研究を急ぐべ...

ログインして続きを読む