第273章

「周防先輩、少し待っていてください」

私はそう声をかけると、少し離れた場所へ移動して電話に出た。

「お前、今一人か?」

立花謙一の低く、起伏のない声が耳に届く。

私は無意識に周囲を見回してから答えた。

「ううん、周防先輩が来ていて、少し話をしてたの」

立花謙一の声のトーンが一段下がった。

「あいつ、また来たのか?」

その声に微かな不機嫌さを感じ取り、私は慌てて釈明する。

「後で会った時に話すわ。それより、何か用?」

立花謙一は数秒の沈黙の後、口を開いた。

「ウィルソンから返事があった。あの件について調べてくれるそうだ」

胸の奥がふわりと軽くなる。「本当? 何か条件は?...

ログインして続きを読む