第32章

角を曲がったところで、私は声を潜めて周防玉輝に言った。

「先輩、検査はいいです。家まで送ってください」

周防玉輝は足を止めた。「紗夜、何を怖がっているんだ?」

私は首を振る。「怖がってなんかいません。ただ疲れているだけ。それに、これは古傷ですから。お医者様から薬ももらっていますし、帰ってそれを飲めば治まります」

周防玉輝は私の前に回り込むと、手すりに手をかけ、膝をついて私の顔を覗き込んだ。

「紗夜。その足、本当にただの古傷か?」

心臓がドクリと跳ねた。私はゆっくりと顔を上げ、彼を見つめる。

周防玉輝は瞳をわずかに細め、さらに問い詰めた。「グラン・ジュテを決めた直後から、様子がお...

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