第39章

彼が口にした「彼」が、一体誰を指しているのか一瞬わからなかった。

「私の先輩のこと? それとも、元婚約者のこと?」

ケンは私をじろりと睨んだ。

「さっきの男だ」

私はほっと息をついた。

「あなたが彼に劣っているなんてこと、あるわけないじゃない。変な勘繰りはやめて」

「俺があいつに負けてないなら、どうして選ぶときに迷ったんだ?」

ケンがなぜそこまでこだわるのか理解できない。

「迷ったわけじゃないわ。ただ気まずかったの。あなたとの関係がこんなに早くバレるなんて思わなくて、とっさにどうすればいいかわからなかっただけよ」

「向き合う覚悟もできていないくせに、どうして俺に関わろうとし...

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