第44章

私は視線を病室の中へと向けた。

周防春香は蒼白な顔で、目を閉じて静かに横たわっている。

手首には確かに、分厚いガーゼが巻かれていた。

だが、信じられない。周防春香という女が、自ら命を絶つなどあり得ない。

私は立花謙一を見据え、声を潜めて問うた。

「本当に信じているの? 周防春香が自殺しようなんて」

立花謙一の表情が瞬時に凍りつく。

「小林紗夜、もう一度言ってみろ」

彼が私を信じていないことはわかっている。それでも、言わずにはいられない。

「もう一度言うわ。昨夜の周防春香の件、私には関係ない」

「打ち上げの場所を決めたのはお祖父様だし、会場の設営をしたのは私の部下よ。ドレス...

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