第51章

その瞬間、凍てつくような寒気を帯びた突風が、私の顔を打ちつけた。

私はわずかに顔を上げた。そこには、氷のような表情を浮かべた立花謙一が、入り口に立っていた。

来るのが早すぎる。

私は無意識に彼の背後へと視線を走らせた。阿陸(アールー)は来ていない。

「お前、無事か?」

立花謙一は大股で部屋に入り込むと、私の腕を引いて怪我がないか検分し始めた。

私は拒絶するように、彼を避けた。

「私は無事よ。周防春香ならベッドの上だわ」

立花謙一の表情が険しく強張り、そこで初めて私の背後に目を向けた。

「謙一! やっと来てくれたのね、早く助けて!」

「親切心で紗夜を助けに来たのに、あの子っ...

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