第52章

黒のトレンチコートを身に纏ったケンは、長身で足が長く、圧倒的なオーラを放っていた。

私は思わず見惚れてしまった。

実のところ、ケンは端整な顔立ちだけでなく、身長もスタイルも抜群だ。

立花謙一のような鼻につく傲慢さはなく、

全身から心地よい雰囲気が漂っている。

ふと足元を見ると、丸められた紙屑が落ちていた。

私は出来心でそれを拾い上げると、彼に向かって投げつけた。

ケンはそれを片手で軽々と受け止め、薄い唇の端をわずかに持ち上げた。

「本来なら、少し怒っているところだ」

「君からメッセージが来た時、何かあったのかと思って飛んできたのに、君がいなかったからな。からかわれたのかと思...

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