第58章

懐かしい声が耳に届いた瞬間、頭の中が真っ白になった。

立花謙一の声だ。

なぜ、彼がここに?

いや、まさか来るはずがない。

だが、目の前の男が宙を舞い、吹き飛ばされた瞬間――その向こうに、山のように揺るぎない立花の巨躯が屹立しているのを目の当たりにした。

ようやく実感が湧く。立花謙一が来たのだ。

私を助けに!

「怪我はないか?」

立花が私に手を差し伸べる。

鼻の奥がツンと痛み、視界が一瞬で涙に滲んだ。

私は喉を詰まらせながら首を横に振る。

「ううん、大丈夫」

彼の手を取り、身を起こしてもらう。

その時、部屋に閉じ込められていた誘拐犯二人がドアを蹴破って現れた。

私と...

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