第60章

再びリビングに戻ると、立花謙一はすでに眠りについていた。

私は空気を読んで寝室を出て、リビングのソファに横になった。

辛い記憶が染みついたこの別荘に戻ってきたのだ。きっと寝返りを打つばかりで眠れないだろうと覚悟していたのだが――予想に反して、私は横になるなり泥のように眠り込んでしまった。

翌朝、目を覚ました私は真っ先に寝室へ向かった。

だが、ベッドに立花の姿はない。

心臓が早鐘を打ち、私は慌てて部屋を飛び出そうとした。

その時、バスルームのドアが開いた。

腰にバスタオルを一枚巻いただけの立花が、全身から湯気を漂わせて姿を現す。

露わになった上半身は、筋肉の陰影がくっきりと浮か...

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