第62章

バレエ団を飛び出した直後、一瞬だけ立花謙一を問い詰めたい衝動に駆られた。

どうして、こんな酷い仕打ちをするの!

だがすぐに、無駄だと悟った。

彼にとっての最優先事項は、いつだって周防春香だ。私なんぞ、所詮はどうでもいい「元カノ」に過ぎない。

彼が変わることなどあり得ないのだ。

なら、どうすればいい?

バレエ団を追い出された今、国際バレエコンクールには出場できない。当然、ロイヤル・バレエ団の目に留まることもない。

長年の努力と献身が、すべて水の泡となった。

薬で痛みを抑えてでも、最後のチャンスに賭けるつもりだったのに。

今や、その資格さえ剥奪されてしまった。

次の四年後まで...

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