第64章

「早く、隠れて!」

 咄嗟の判断で、私はケンを二階の主寝室へと押し込んだ。

 ケンは不満げに抵抗する。

「俺はそんなに人様に見せられない男か?」

「違うわよ。来る人の立場が特殊だから、あなたを見せるわけにはいかないの!」

 私は焦っていた。力任せに彼を部屋に押し込み、ドアを閉めようとする。

「小林紗夜!」

 ケンがドア枠に手を突き、苛立ちを露わにして言った。

「お前は今フリーなんだぞ。俺たちが一緒にいるところを見られたって、誰にも文句を言われる筋合いはないだろう!」

「あなたはわかってない! とにかく、立花の祖父に見つかるわけにはいかないの!」

 私は必死に彼の手を引き剥...

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