第68章

立花謙一から手渡されたスマートフォンを見つめ、私は失望を隠せぬまま口を開いた。

「立花謙一、あなたが本当に私を信じているなら、こんな電話をかけさせたりはしないはずよ」

条件付きの信頼など、信頼とは呼べない。

「見ろ、これが君の答えだ」

立花謙一の声は深く沈み、強張っていた。

「君の中では、俺よりもあいつのほうが遥かに重要なんだろう」

「重要かどうかの問題じゃないわ。私はただ、選択なんてしたくないだけ」

声が震え、嗚咽が漏れそうになる。

「立花謙一、私たち十年も一緒にいたのよ。それなのに、私への信頼は欠片もないのね」

「周防春香の言葉だけで私が彼女を陥れたと決めつけて、あまつ...

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