第71章

バー。

そこは、私とけんが初めて出会った場所だった。

今夜の私は、どうしようもないほど苛立っていた。何かで発散しなければ、気が狂ってしまいそうだ。

私はバーテンダーを捕まえ、けんについて尋ねた。

「すみません、けんはどこにいますか?」

しかし、バーテンダーは私の言葉を聞くと、困惑した表情を浮かべた。

「けん? そんなやつ、うちにいたか?」

心臓がぎゅっと締め付けられる。

「いないはずないわ。彼はここでずっと働いているのよ。もう一度よく考えて」

バーテンダーは記憶を辿るように考え込んだ。

「いや……確かにそんな名前のスタッフはいないなぁ。自分で電話して聞いてみたらどうだ?」...

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