第79章

思わず、顔を伏せた。

私は本当に、立花謙一(たちばなけんいち)への想いを断ち切れたのだろうか?

そんなことは、一度もなかったのかもしれない……。

そうでなければ、これほど心が揺れ動き、迷い続けるはずがないのだから。

立花謙一と周防春香(すおうはるか)が結ばれるという事実を飲み込むだけで、どれほどの時間を費やしたことか。それなのに今、私の愛を壊した張本人である浮気相手に頭を下げ、協力しろというのか。

私には、とてもできない。

だが、周防玉輝(すおうたまき)の言葉もまた正論だった。

もし立花謙一が私を手放そうとしないのなら、この状況を打破できるのは周防春香以外にいない。彼女がうまく...

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