第81章

牛乳の入ったグラスを持つ手に、思わず力がこもる。

「これ、本当にただの睡眠薬なの?」

「当然でしょ。世界で一番謙一を愛している私が、彼を傷つけるわけないじゃない。それよりあなた……」

周防春香は私を嘲笑うような目で見やった。

「後悔してるんじゃない?」

私はグラスを強く握りしめ、皮肉で返す。

「わざわざ挑発しなくてもいいわ。自分のやるべきことはわかってる」

「なら、もう出て行って。誰かに見られたら、すべて水の泡よ」

寝室に戻る。

立花謙一がいると思ったが、見回しても誰もいなかった。

ここにいないなら、書斎か。

手の中のグラスを見つめ、一瞬躊躇したが、やはり書斎へ向かうこ...

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