第85章

凄まじい衝撃音が、鼓膜を劈くような耳鳴りを呼び起こした。

周囲の音は何も聞こえない。ただ、舞台袖から警備員たちが血相を変えてこちらへ駆け寄ってくるのが見えた。

体を動かそうと試みる。だが、少し身じろぎしただけで、全身に激痛が走った。

その時になって初めて、私は自分の腕やふくらはぎが裂傷を負っていることに気づいた。

傷口は赤く爛れ、鮮血が滲んでいる。

「小林紗夜!」

スタッフが私の元へ辿り着くより早く、別の影が視界を遮るように現れた。

立花謙一だ。

彼は私の前に立ちはだかり、近づこうとする人々を遠ざけた。

「彼女に触れるな」

その声は冷徹でありながら、焦燥に満ちていた。

...

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