第86章

「彼女、まさか周防先生の妹弟子だったのか? 通りで踊りが別格なわけだ」

「全くだ。あれほどの怪我を負いながら、『羽化』を見事に演じきるとは……」

「さすがは準決勝一位だ。さっきまでの連中とは格が違う」

「しかし、周防先生の妹弟子なら、なぜ今まで燻っていたんだ? 周防先生のように審査員席に座っていてもおかしくないのに」

一瞬にして、様々な憶測が耳に飛び込んでくる。

私はそれらの雑音に反応することなく、ただ審査員の採点を待った。

「エントリーナンバー九番。この『羽化』は、貴女のオリジナルですか?」

金髪碧眼の女性審査員がマイクを取り、私に問いかけた。

私は司会者からマイクを受け取...

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