第87章

それからどれくらい経っただろう。意識が微かに戻ってきた。

けれど瞼が鉛のように重く、どうしても開かない。

薄れゆく意識の中で、誰かが医師を怒鳴りつけているのが聞こえた。

「早く助けろ!」と、強引でありながら、どこか焦燥を含んだ声。

やがてストレッチャーが動かされ、救急救命室へ運び込まれたような気配がする。

医療機器の起動音が耳をつんざく。

そこでふっ、と意識が途切れ、私は再び深い闇へと沈んでいった。

次に目を覚ましたとき、耳元で衣擦れのような微かな音がした。

目を開けると、周防玉輝が背中を丸め、忍び足でベッドに近づいてくるところだった。

「先輩?」

声を出そうとして、自分...

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